恐怖のカンナンボーシ

photo of ocean waves near seashore during sunset

人間に幸福を恵んでくれる妖怪もいれば、恐怖しか与えない妖怪もいる。

幼い頃住んでいた、東京都新島村では1月のとある日にはカンナンボーシが海から上がって来る。

家のおじいちゃんが山から集めてきた木の枝を家族に渡して建物の入口や窓口に取り付けなさいと言い、指示されたように皆で作業を始め、そしてその夜は早く寝なければいけなかった。

カンナンボーシの姿を鏡越しでもみたら「死ぬ」と、小学校の友達同士ではいわれてた。

その頃10代の身には怖くて、カンナンボーシが来る夜は早々と布団にもぐりこんだのである。

子供以外の家族も早く寝ていた記憶がある。

次の日、学校へ行くと「寝たふりで薄目開けてたら、足、見た!」とかいう同級生もいたけど、家族の足でしょう。だって、足だってみてしまえば、その子は学校に来ているハズがないから。

現在私は、他地域に住んでいる。先日親に会ったとき、昔カンナンボーシって行事あったよね?あれ、1月の何日だっけ?家に取り付けていた木の枝は何の木だっけ?令和の今も、あの行事は島で行われているのかな?の問に親は「そうそう、あったねー。海から上がってくるってさ!」わかりきってる返答しかきけず、がっかり。でもまあ、それもしょうがない。嫁である母親がアレコレ用意するわけでもなく、今は亡きおじいちゃんが全部用意してくれてたのだから。

新島の場合は、まえ浜から上がってくると記憶していたけど。

伊豆諸島全域でも、同じような風習があると知ってちょっと驚いた。新島だけかと思ってたから。

だとすればカンナンボーシは、7つくらいの島を回るんだー。凄いね。

自分が当時何らかの絵を見て記憶していたカンナンボーシは、神輿みたいなものに担がれて、海から浜に上がって来るものだったような?

カンナンボーシって子供のころは言ってたけど、正確には海難法師なんだね。

ひさしぶりに、くさや、食べたい。後、茹であしたば。